三人官女は、「5人飾り」と呼ばれる雛人形に含まれるお人形です。
お内裏様(おだいりさま)とお雛様(おひなさま)、
そして、その次の段に並べられるのが、今日紹介する三人官女です。
最近の雛人形はコンパクトなものが人気となっていますが、
やはり、親王飾りと呼ばれるお内裏様、お雛様だけの2人飾りはやや寂しく、
三人官女までを飾れる、この5人飾りも非常に人気があります。
今日はそんな三人官女の飾り方について紹介します。
3人の女性の配置やそれぞれの持ち物、役割まで細かく説明します!

三人官女はどういう人なの?
「官女」とは、お雛様に仕える女官を意味します。
この女官とは、現在の”お手伝いさん”の立ち位置とは違って、
位の高い、女性の官僚が選ばれます。
お雛様の身の回りのお世話はもちろんのこと、
楽器を演奏して聞かせたり、歌と詠んであげたり、
作法などのお勉強も、この三人官女から教えられます。
そんな三人官女は、まさに特別な女性しかなれないものであり、
ひな壇の中でも、お内裏様とお雛様に次ぐ2番目に飾られるくらい、
位の高い女性たちです。
三人官女の飾り方・並べ方は?
雛人形によって異なりますが、三人官女のお人形は、主に、
「立っているお人形が2人、座っているお人形が1人」または、
「座っているお人形が2人、立っているお人形が1人」となっています。
飾り方としては、姿が1人だけ違うお人形を真ん中に配置し、
その他の2人のお人形を両端に並べます。
この時、真ん中に来る三人官女のうちの一人は、
眉毛がなく、良く見るとお歯黒になっているのが一般的です。
これは、この女性だけ既婚者であることを意味しています。
眉毛があり、お歯黒ではないお人形は、独身の女性です。
稀に、3人とも座っているor立っている三人官女もいますが、
この時は、上記を参考に既婚者の女性を真ん中に並べます。
また、立っているお人形を並べる時は、外側の足が前に出るように、
座っているお人形を並べる時は、やや中央に向けて並べます。
雛壇の意味と三人官女の持ち物は?
ひな祭りに飾るこの雛壇は、
お内裏様とお雛様の結婚式の様子を表したお人形飾りです。
女の子の節句として使われる雛壇ですが、
「ひな祭りが過ぎたらすぐに片づけないと嫁に行き遅れる」
なんていきなり”結婚”の話が出てくるのは、ここに由来しています。
三人官女の持つ道具は、それぞれ結婚式のお祝いのために、
お酒を注ぐ役目があります。
持ち物は、
・長柄銚子(ながえのちょうし)
・三方(盃)、島台
・提子(ひさげ)
長柄(ながえ)
柄杓(ひしゃく)のような形をしているのが、長柄(ながえ)です。
柄、持ち手の部分が長くなっていることが名前の由来です。
この長柄は、白酒を注ぐ道具で、
左の三人官女(向かって右)に両手で持たせてあげます。
両手で持たせ、柄の部分が外側に口の部分が内側になるようにします。
三方(盃)、島台
それぞれ、三方(さんぽう)と島台(しまだい)と読みます。
三方の上には、盃が乗っていることがほとんどです。
これは、真ん中の三人官女に持たせます。
提子(ひさげ)
やかんのふたを取ったような形をしているのが提子(ひさげ)です。
右の三人官女(向かって左)に持たせます。
右手に持たせられるように、手のひらが上を向いています。
三人官女の飾り方のまとめ
このように、三人官女はお雛様につかえるとても位の高い女性で、
結婚式であるこの雛壇では、祝いのお酒を注ぐ役割があります。
このような背景を知り、お雛様を飾ると、
「なるほど」と思えてくる部分がたくさんありますよね。
こういった良き日本の習慣は、是非子供の代にも伝えていってほしいので、
娘さんとひな祭りのお飾りを飾り付ける時には、
分かりやすく、説明してあげると良いと思います。