
浴衣の着付けは、「右前」が正解になっています。着物も同様です。
「左前」にして着付けるのは、”死装束”(ししょうぞく)。
遺体に着せる衣装になりますので、絶対に「左前」で着てはいけません。
ただ、間違えて覚えている人も多いんです。
浴衣・着物の着付けの「左前」、「右前」は少しややこしいですので、
これを機に、しっかりと覚えておきましょう。
左前・右前の本当の意味とは?男性・女性で着付け方は違うの?
高校生の頃だったと思います。
母と祖母のいるところで、浴衣を一人で着付けられるように、教えて貰ってたとき、
「浴衣って、左前なんだっけ?右前なんだっけ?」と聞いてみたことがあります。
そのとき、母も祖母も即答で、「左前だよ!」「右前だよ!」と、
別のことを、言ったんです。
「え??」と私は、困惑しました。でも、実はどちらも言っていることは同じ。
母の言った「左前」というのは、”左が前にきている”という意味だったのですが、
祖母の言った「右前」というのは、”右を手前にする”という意味だったんです。
でも、浴衣・着物の着付けのマナーとしては、祖母の言った「右前」が正しい表現。
少しややこしいのですが、
浴衣・着物を着付けるときは、右を先に、左をあとに重ねる、
右が自分から見て手前(体側)になるようにするのを「右前」としています。
”右が前にきている”と勘違いしやすいですが、右が先にきているのが「右前」
”左が前にきている”のが、いわゆる、死装束(ししょうぞく)となり、
マナー違反に当たります。
私も含め、現代の人は和服を着るシーンは、本当に少ないですので、
”着るたびに左前、右前どっちなんだっけ?”と不安にもなってしまいますよね。
浴衣を着るのなんて、旅館に旅行に行ったときや、花火・夏祭りのときくらいです。
浴衣・着物を着るときは、”右を先にする”と覚えておきましょう。
和服を右前に着るようになった由来とは?
昔は、右よりも、左の方が上位であると考えられていました。
そのため、左前は身分の高い人のみが着る、着付け方だったんだそうです。
この歴史は古く、聖徳太子が広めた風習だと言われています。
男性、女性で着付け方は逆になる?
シャツの衿合わせは、男性は”右前”で、女性は”左前”と決まっています。
現代の人にとっては、和服よりもシャツの方がポピュラーであるため、
衿合わせが、男性・女性で異なることを知っている人は、多いです。
そのためなのか、浴衣・着物の着付け方も、男性・女性で逆なのでは?と、
勘違いしている人も多いんです。
和服(着物・浴衣ともに)の着付けは、先ほども紹介した通り、
「右前」(左が前に来るようにする)のが、正解になります。
これは、男性も、女性も変わりません。
男の人も、女の人も必ず「右前」にして着るのが正しい着付けであり、
「左前」は、男性も、女性も遺体に着せる着付け方になります。
また、旅館にある”浴衣”と、花火大会や夏祭りで着る”浴衣”も、
着付け方は一緒になります。着方は異なりませんので、覚えておきましょう。
和服の左前・右前、間違いないように覚えるには?
覚え方としては、”懐に手を入れやすい方”とするのが、良いです。
昔の人は、着物の中に大事なもの(お財布など)を入れていました。
時代劇やドラマでも、着物の懐から何かを出すシーンってありますよね?
日本人は、右利きの方が多いですから、右手を懐の中に入れやすく、
着付けられています。左利きの人はちょっと、想像しにくいかも知れませんが、
右手をすんなり胸元に入れられるように着付けるのが、正解の右前になります。
これからの時期は、和服を着る習慣のない世代の方も、浴衣を着ます。
私も毎年浴衣を着て花火大会に行きますが、毎年間違って着ている人を見ます…。
恥ずかしいのもありますが、マナー的にも良くないことですので、
「右前」(左襟が前)になるよう、充分に注意してくださいね。